みなさんは除湿機がどうやって湿気を取り除いているかわかりますか?
湿度のコントロールは、快適な居住環境を維持する上で欠かせない要素です。
特に湿度が高い季節や場所では湿度が適切でないと、こんな問題が生じます。
- 体感温度の上昇
- 室内干しの洗濯物の生乾き臭
- カビやダニの繁殖(カビ・ダニアレルギーの要因)
- 家具や壁の劣化
そこで活躍するのが除湿機です。
本記事では、「除湿機の仕組み」について解説していきます!
そもそも除湿ってなに?
除湿とは一言で言うと、空気中に含まれている水分を取り除くことです。
空気は水分を含むことができ、これ以上水分を含むことができない状態が湿度100%です。また、温度によって空気が水分を含むことができる量は決まっていて、温度が高いほど水分を多く含むことができます。
そして温度をどんどん下げると水分をあまり蓄えられることができなくなり、空気中に含まれられなくなった水分は水滴として溢れ出ます。
これがいわゆる結露というものです。
冬の窓ガラスや夏の暑い日に冷たい飲み物を入れたコップに結露しますね。
また、その他にも吸湿性のある材料があります。例えば炭です。炭は細かい穴がたくさん空いています。その細かい穴から湿気を吸収してくれるので、除湿効果があります。 それだけでなく、空気中の水分量が少なくなった場合は、細孔から水分を放出することもできるので、空気中の水分を調整する効果もあるのです。
除湿はこの原理を応用して空気中の水分を水(液体)として集めたり、吸湿性のある材料に空気中の水分を吸湿させるなどして湿度を下げるというものです!
以下の記事で湿度とは何かを解説していますのでよかったらご覧になってみてください。
除湿方式について
まず除湿機には、コンプレッサー式、デシカント式、ハイブリッド式の3種類があります。
これらは使う場所や時期、除湿の目的によってどの方式の除湿機が最適か変わってきます。
そのため除湿の仕組みも方式によって異なります。
コンプレッサー式
コンプレッサー式除湿機は、冷却コイルとファン、圧縮機を使用して湿気を取り除く方式です。
少し難しい単語が出てしまいましたが、わかりやすく説明していきますね!
原理
①ファン
コンプレッサー式には空気を吸い込むためのファンがあります。このファンによって湿った空気をフィルターを介してホコリ等を取り除き、除湿機の内部に送ります。
②冷却コイル
次に、コンプレッサー式には、冷たいコイル(巻き線状の金属部品)があります。湿った空気がこの冷却コイルに触れると、空気中の水分が冷却され、水滴として凝結します。
これは最初に説明した、夏の冷たい飲み物や冬の冷たいガラス窓に水滴がつくのと同じ原理です。
冷却コイルから凝結した水滴は、除湿機の底にある水収集タンクに流れ込みます。ここに水がたまり、必要に応じて捨てることができます。
③圧縮機(コンプレッサー)
圧縮機(コンプレッサー)は、冷却コイルを冷たくするための装置です。コンプレッサー式除湿機の名称はこの圧縮機を使用していることに由来します。
④放熱器
最後に、冷却コイルを通った空気は放熱器を通して室温と同じ温度まで調整し、乾燥した空気として室内に放出されます。
特徴
高い除湿能力
コンプレッサー式は、デシカント式よりも高い除湿能力を持っています。大きな空間や高湿度の環境で 効果的に作動し、短時間で湿度を下げることができます。
しかし、原理的に空気を冷たいコイルに吹き当てて除湿することから、元から空気の温度(気温)が低い冬には除湿効果を発揮しづらくなっています。
コンプレッサー式は夏に適していて、冬には向いてないんですね。
電力消費が少ない
コンプレッサー式はデシカント式よりもヒーターを使用しない分、電力消費が少ない傾向にあります。ただし、高い除湿能力による電力消費が必要になった場合は、デシカント式よりも消費電力が多くなることがありますが、基本的にコンプレッサー式のほうが電力消費が少ないです。
デシカント式
デシカント式除湿機は、湿気を取り除くために吸湿材(デシカント)を使用する方式です。デシカントは通常、ゼオライト(鉱石の一種)やシリカゲル(石英の一種)などの物質から作られています。
こちらも原理や特徴を説明します!
原理
①ファン
コンプレッサー式と同様にデシカント式にもファンがあり、ファンによって湿った空気をフィルターを介してホコリ等を取り除き、除湿機の内部に送ります。
②除湿ローター
吸い込んだ空気中の水分を除湿ローターの吸水性の良いゼオライトで吸着し、水分を取ったあとの乾いた空気を吹き出します。イメージ的には食品の包装の中にある乾燥剤(シリカゲル等)がありますよね。そちらは食品の包装内の湿気を吸着して品質を保つ役割をしていますが、デシカント式の除湿器でも原理はその乾燥剤と同じことを行って、室内の湿気を取り除いているということです。
③ヒーター
つづいて除湿ローターをヒーターで熱し、吸着した水分を熱交換器内に放出します。
④熱交換器
水分が熱交換器内で冷やされて水滴になり、水収集タンクにたまります。こちらもコンプレッサー式と同様に、必要に応じて捨てることができます。
特徴
低温時も運転可能
デシカント式は冬などの気温が低いときでも湿気を取り除くことができ、一年を通して使用することができます。コンプレッサー式では冬には効果があまり最大限発揮できませんが、デシカント式なら冬場の除湿ができるということが大きな特徴です。一年を通して部屋干しをするような方にはおすすめですね。
しかし、夏の場合においては除湿能力はやはりコンプレッサー式には劣ってしまいますね。
静音・軽量
デシカント式には圧縮機がないので、その分コンプレッサー式に比べると軽量で騒音も少ないです。そのため睡眠時に使用したり、持ち運びも簡単にできるので自分のいるところに気軽に持っていくことも可能です。
電力消費が大きい
デシカント式は加熱や熱交換のプロセスにエネルギーを必要とするため、一般的にコンプレッサー式よりも電力消費が大きくなります。また、ヒーターを使って熱交換を行っているので室温が上昇してしまう面もあります。冬はいいですけど夏はちょっと気になりますね・・・
ハイブリッド式
最後にハイブリッド式の仕組みを説明します。その名の通りハイブリッド式とは、コンプレッサー式とデシカント式の両方の機能を併せ持った方式です。
特徴
一年中使用可能
前述した通りハイブリッド式はコンプレッサー式とデシカント式を併せ持った方式です。つまり、両方のメリットを組み合わせ、デメリットをなくすことが可能となります。コンプレッサー式とデシカント式の運転比率を自動的に切り替え、環境に対応した高い除湿力を発揮します。室温に関係なく、どんな季節や天気にも常に最適な運転をすることができます。
本体が大きい・高価
ハイブリッド式は両方の機能を併せ持っているため、他2つの方式の除湿機に比べて本体が大きくなってしまいます。また、値段もやはりほか2つに比べると高価です。
それでも一年中使うならコンプレッサー式とデシカント式を1つずつ買うより、ハイブリッド式を1つ買ったほうがお得ですね!
まとめ
今回は、除湿機がどうやって湿気を取り除いているか、除湿機の除湿方式について解説しました。
表にしてそれぞれの方式を比較してみました。
コンプレッサー式 | デシカント(ゼオライト)式 | ハイブリッド式 | |
除湿性能(夏) | ○ 高い。 室温上昇も少ない(1~3℃) | × 低い。 室温上昇が大きい(3~8℃) | ○ 高い。 室温上昇も少ない(1~3℃) |
除湿性能(冬) | × 低温時は低い | ○ 低温時でも高い | ○ 低温時でも高い |
消費電力 | ○ 低め | × ヒーターを使用するので高め | △ ヒーター使用時は高め |
稼働音 | ×コンプレッサーを使用するので大きい | ○ 小さめ | △コンプレッサー使用時は大きい |
サイズ | △ 機種による | ○ 小型軽量 | × 大きく重い |
価格 | 〇 機種による(コスパが良い物も有り) | 〇 機種による(コンプレッサー式と同程度) | ×基本的に高価 |
今回の記事をまとめると次の通りです。
- 除湿は結露や吸湿の原理を利用して空気中の湿度を調整している
- コンプレッサー式の除湿機は結露の仕組みを利用し、夏場の除湿に向いている
- デシカント式の除湿機は吸湿の仕組みを利用し、冬場の除湿に向いている
- ハイブリッド式の除湿機は上記2つの方式を併せ持ったもの
以上がまとめとなります。
みなさんがこの記事を読んで、除湿機の仕組み・除湿方式が理解でき、自分が求めている除湿機がどの方式なのかが分かってもらえたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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